【東京都台東区】中小企業支援総合コンサルティングネットワーク事業

REPORT 活動報告

【東京都台東区】中小企業支援総合コンサルティングネットワーク事業

2003年度に締結した本学と台東区との包括協定に基づき2004年度より開始した「中小企業支援総合コンサルティングネットワーク」。この事業は台東区産業部経営支援課が推進する中小企業活性化事業の一環として本センターが受託したもので、台東区内企業から区役所に持ち込まれた中小企業の各種経営課題(販路拡大、ブランド化、技術開発など)を、本センター所員およびRA(リサーチアソシエイト)が相談員となってコンサルティングを行い、解決策を提案するというものである。

本学は2005年に「台東サテライトオフィス」を設置し、そこを拠点に地元の企業の経営改善のニーズをヒアリングし、解決に向けた様々な方策を考え、実行可能な方策についての助言を成文化して還元するという仕組みを作り上げた。2004年スタート直後から3件の相談があり、2004年度には6件、2005年度4件、2006年度4件、2007年度には2件の相談案件に対応した。販路拡大の相談案件では、専門教員の指導のもと経営学部学生も加わってマーケティング調査を実施して販売促進の提案を行い、企業の増収へと繋がることとなった。

このように学部生や大学院生も補助的に参加するほか、本センターでは十分対応できない相談案件については、それに相応しい分野を専門とする他大学教員もプロジェクトチームに加えて柔軟な相談態勢をとった。成功事例として、服飾・装飾品の新製品開発・ブランド化に対して、杉野服飾大学の教員や学生チームの協力を得て、クライアント企業に向けたプレゼンテーションを実施し、画期的な提案のできたことが挙げられる。

一方では、大学・自治体・中小企業という全く異なる組織間の取り組みには自ずと軋轢も生じ、中小企業経営者の能力向上、自治体の柔軟な対応、大学の迅速なレスポンスといった課題が浮き彫りになった。本センターでは、報告書書式や手続の簡便化・報告書作成の迅速化など、処理スピードアップのため様々な改善努力を重ね今日に至っている。

後に「中小企業支援総合コンサルティングネットワーク」事業のノウハウは、学部生を対象とした実践的教育プログラムの開発へとフィードバックされ、「地域の中小企業活性化と実践的体験教育―コンサルティングと課題解決教育の構築」(2004年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム採択事業)へと繋がることとなった。