【千代田学プロジェクト】企業・民間研究団体と協働した活動報告

REPORT 活動報告

【千代田学プロジェクト】企業・民間研究団体と協働した活動報告

 2005 年度には区内公教育機関の環境教育実施状況と企業の環境CSR との協働ニーズ調査を実施。企業側のCSR 活動として地域の環境教育に寄せる積極的な姿勢に対し、学校側は企業の豊富な講師・教材に魅力を感じながらも、その営利・宣伝活動への懸念から実施を躊躇う傾向があり、本センターが両者のニーズを調整することで産・学コラボレーションによる環境教育の事業化が実現を見ることになる。

 その後、学部学生・大学院生等を動員して、企業・民間研究団体と協働した区内公教育機関(幼稚園、中学校)での環境教育支援プロジェクト、本学人間環境学部と区の共同事業「CES(千代田エコ・システム)研究ゼミ」協定締結へと進展した。

 2006年度には、三菱地所㈱との協働のもと多数の学生チューターを動員して7回にわたって実施した区立九段中等教育学校での実習・ワーク型実験授業「企業と学校で連携する環境教育プログラム」の成果は、後日「毎日壁新聞コンクール」最優秀賞受賞となって結実し、千代田区のユニークな環境教育事業として注目を集めた。また㈱芸術造形研究所との協働により、区立昌平幼稚園で臨床美術の手法である抽象画・印象画を使用した幼児を対象とした実験的環境教育も実施した。

 3年にわたる千代田区の環境教育に関する調査研究の総括として「千代田学プロジェクト」シンポジウムを実施。基調講演では、「企業が行う環境教育の意義と課題」、そして、平成18年度に実施した実験的な環境教育に関する2つの事例(千代田区立九段中等教育学校および昌平幼稚園)報告を行いました。最後に、環境教育の実践に携わったパネリストの最新情報を交えて、これからの環境教育のあり方について、パネルディスカッションが行われました。「持続可能な社会の構築」や「温暖化防止」のためには、地域社会、企業、学校関係者らが環境教育に対するより一層の関心と、大切な次世代育成につながる環境教育の充実についての議論が行われました。シンポジウム後、ラウンジで行われた交流会では、さまざまな事業に取り組んでいる参加者や研究者たちが活発に交流し、今後の企業の環境教育支援活動について意見交換が行われました。

 これら一連の調査研究・実践活動の成果は、千代田学報告書「企業の環境教育支援活動に関する調査研究~学校と地域社会が連携し協働して環境教育をすすめるために~」(2005年度)、「CSR 活動としての企業の環境教育支援」(2006 年度)として纏められ、また千代田学プロジェクトシンポジウム「地域社会における企業の環境・CSR活動を考える」(2004年度)、「企業が実施する環境教育支援に関する研究」(2005 年度)、「CSR活動としての企業の環境教育支援」(2006 年度)開催により公開された。

 活動の中で本学は折にふれて千代田区の昼間人口(85 万人)を巻き込んだ環境行政の必要性を区に進言してきた。それはCES 研究ゼミ成果報告書の中で、「昼間人口を含む環境政策としての実現を果たすためには、区内のマネジメント全般を支える広範な主体による、連携機関(=第三者機関)設置が欠かせない」とする地域特性を踏まえた環境マネジメント推進への政策提言となった。2007 年6 月、千代田区長からの協力要請により本センターは区と協働して、地域の環境改善推進のため区民・行政・企業・大学等が連携協働する第三者機関の設立準備に着手した。区内の大学・企業・ボランティア団体等に参加を呼びかけて設立準備委員会を設置し、委員会および分科会での半年にわたる検討を経て、2008 年4 月、「CES(千代田エコシステム)推進協議会」が正式に発足することとなった。